同級生
東京に出てきて1年と8ヶ月が経とうとしている。
そんな私よりも先に東京に出てきて、美容師として働いている高校の同級生に、私は髪のお世話をしてもらっている。
彼はすごい。
どういう風にする??とお馴染みの美容師さんの台詞から始まるのだが、私が伝えたかった理想の3割を言えば、ほとんど全てを理解してくれその通りの髪型にしてくれる。
まさに魔法使いだ。
「それはあれだね、昔からの付き合いの賜物だね!!いい友達だね!!」
と思った読者の方もいるかもしれない。
だが、事実はそうではない。
高校時代、私は彼とほとんど話をしたことがない。
というよりむしろ私は彼があまり好きではなかった。
当時の彼はナヨナヨしている印象で、あまり個人的に仲良くなりたいと思わないような人物であった。
顔は非常に整っており、俳優のような美青年である。
決して嫉妬なんてしていたわけではない!と自分では思っているのだが…
いや、ほんとにしていなかったはずだ笑
と、まぁ彼と親しくなかったのは事実なのである。
それを示すかのように、東京に出てきて1年は彼に髪のお世話をお願いしていなかった。
近所の美容室に通っていた。
今年の春に同級生が結婚し、呼ばれて参列した式に彼も同席しており、そこで高校振りに再会したのだ。
だが、この時も私の彼に対する印象はあまり良くなく「生粋の女好き」といったような感じであった。
そして数週間後にたまたま呼ばれた高校の同級生との宴席にて、また彼とお会いし、そしてそこで(最初はあまり気乗りしなかったのが本音だが)彼からお誘いをいただき、髪を一度切ってもらうことになった。
私としては低価格で切れるからラッキー程度にしか考えていなかった。
けれど美容師としての彼を見て、今までの私の彼に対する印象が180度変わった。
彼は真剣に、かつ自分の職業を楽しんでいた。
それは技術からも、彼の姿勢からも、周りの同僚からの反応でもわかった。
そして彼との会話の中で、軽い言葉のようでしっかりと自分の基準を持って話していることも伝わってきた。
今は彼に表面上だけの印象で決めつけていたことを謝りたい。
そしていつもありがとうと感謝したい。
彼とは後日、昨日公開した映画「スラムダンク」を一緒に鑑賞しにいく予定だ。
楽しんで仕事をしている男はかっこいい。
明日から月曜日が始まる。
さぁ一週間、張り切っていこう。